カスタマーサクセスと営業がコラボレーションし始める時(とき)

カスタマーサクセスをスケールさせる方法はテクノロジー投資以外にもありますが、究極的に有効な方法は何だと思いますか?

 

答えは、全社員がカスタマーサクセスの重要性を理解して動き、共通の目標・指標のもと、組織の壁を超えたコラボレーションが活発に展開される状態になることです。成功した企業のCEOほどその重要性を強調します(例えば「CEOが語るカスタマーサクセス #002 スティーブ・ルーカス氏 Marketo」など)。

 

コラボレーションと聞いて直ぐ思いつくのはカスタマーサクセスと営業の関係ではないでしょうか。両者は時に利害対立しがちですが、そんな事態から抜け出すことが実はスケールへの近道です。具体的な方法はぜひ記事をご一読ください!

 

注:Strikedeck社の許可を頂き原文の和訳を紹介します。


 

カスタマーサクセスと営業との間のよくある話

SaaS専門のベンチャーキャピタリスト、カスタマーサクセスアナリスト、カスタマーサクセス担当VPの3者がテーブルについて、カスタマーサクセスと営業について議論したとします。どんな展開になるか想像できますか? 話は大いに盛り上がりそうです。

 

例えば:
・カスタマーサクセスは、営業が四半期目標の達成を優先し、チャーンが悪化しカスタマーサクセスの手を煩わせるだけの”筋悪な”カスタマーばかり連れてくると思っている

 

・営業は、カスタマーサクセスがカスタマー候補に”真実”を伝えすぎ、プロダクト活用の必要条件を要求しすぎるため、営業活動がスムーズに進まず契約が遅れがちになると思っている

 

・営業は、カスタマーサクセスがカスタマーの満足度ばかり気にする理由が理解できない。会社の成長に今最も必要なのは売上達成なのに、満足度をそこまで優先する意味が分からない

 

・カスタマーサクセスは、難しいカスタマーから契約更新を勝ち取れたのはカスタマーサクセスの成果なのに、結果として高い報酬を得るのは営業なのが納得いかず、自分たちは過小評価されていると思っている

 

どうですか皆さん、聞いたような話ではありませんか?!

 

生れつつある変化

実はこれ、Costanoa Ventures社の元CROで現オペレーションパートナーであるJim Wilsonと、カスタマーサクセス協会の創設者であるMikael Blaisdellと共に、Strikedeckの四半期ベンチャー会議で議論したことなのですが、もはや初めて聞く内容ではありません。

 

実際、組織内のレポート構造、作成する資料の内容、仕事の進め方、評価の指標と測定値などが営業とカスタマーサクセスとでどれほど違うかを知るにつれ、この重要な2大機能がどう歩み寄れるのか、にむしろ興味が湧いてきます。

 

カスタマーサクセスのコンサルティングを仕事とする私、Irene Leftonは、1年前からカスタマーサクセスマネジメント側が発する上述のような批判コメントを数多く耳にしましたし、クライアントの経営幹部とは営業とカスタマーサクセスとの間で進む対立について何度も話し合ってきました。

 

でも最近、何かが変わりつつあります。両組織が互いに相手との関係に小慣れてきたようです。

 

営業とカスタマーサクセスは、単なる共存レベルを超え、より生産的に標準化された協業をするために協力し始めたようです。もちろん、まだあらゆる組織で見られる現象ではありませんが、1つの傾向が生まれつつあるようです。そして私はこの傾向が今後も続き更に大きな動きとなることを本当に願っています。

 

以下、私たちが議論したことを紹介します。

 

カスタマーサクセスのレポート先はどこ?本当に収益に関する内容ではないの?

カスタマーサクセスチームはどの組織へレポートすべきかをまず議論しました。企業はお金を稼ぐために事業を推進しますが、カスタマーサクセスは間違いなく収益に関わることです。ここで我々は、収益を「新規カスタマーの獲得と定期収益の維持の両方を意味するもの」と定義します。この定義に基づくと、営業もカスタマーサクセスもどちらも収益に貢献します。

 

個人的には、CostanoaのようなVCがCROだった営業パートナーを迎え入れることに決めたと聞いた時、それは営業とカスタマーサクセスのコラボレーションがいかに重要かを示す強い姿勢に感じ、その重要性についての断固たる信念を新たにしたものです。

 

ジムは、営業とカスタマーサクセスの連携に関する新しい視点を紹介してくれました。購入したプロダクトを上手く導入し、プロダクトを大いに活用して価値を手に入れ、口コミや他社紹介してくれ、契約更新やアップセルしてくれる “筋の良い” カスタマーを獲得するには、営業とカスタマーサクセスが協力してカスタマージャーニーに関わることが必須だ、という事実を、成功している企業ほど理解している、というのです。

 

つまり、企業が市場価値を最大化するには営業とカスタマーサクセスの両者が協力し、あらゆる収益の源泉を抑える成長エンジンになる必要があるということです。

 

企業にはさまざまなレポート構造が存在します。カスタマーサクセスのレポート先は、営業、マーケティング、オペレーション部門、またはCEOへ直接、と様々です。しかしジムもマイケルも、カスタマーサクセスのVPは、CEOと同じテーブルに座って直接報告することが最も効果的だという点で意見が一致しました。

 

もちろん、企業が成長し、垂直型チームに分かれたり、事業ユニットに分かれたりすると、この構造は随時適切に変えていく必要があります。

 

カスタマーサクセスが営業にレポートすべきかは、営業責任者のカスタマーサクセス理解度に応じ判断すべきです。特に創業初期の企業の営業責任者は、カスタマーを常に中心に据えて考える思考性をもち、過去にカスタマーサクセスマネジメントを経験したことがあり、新規カスタマーの獲得と既存カスタマーの維持の両方に投資・注力することが必須だと理解している可能性が高いです。その場合はカスタマーサクセスが営業へレポートしても大丈夫でしょう。

 

一方、営業責任者がカスタマーサクセスマネジメントの経験がない場合、事業の存続上重要なリテンションを過小評価する可能性があるため、カスタマーサクセスは営業責任者ではなく、CEOへ直接報告する方が良さそうです。

 

カスタマーサクセスが誰へレポートすべきかは、戦略の話ですが同時に部門間の協業の話でもあります。それは、営業とカスタマーサクセスが共通のビジョンに基づいて仕事を進めることで、互いの関係性や協業性を強めるということです。そうなれば両者の協働作業が広がり、企業活動のあらゆる局面で最良の意思決定がなされるようになるのです。

 

 

営業とカスタマーサクセスがコラボレーションしなかったら?

営業とカスタマーサクセスが緊密にコラボレーションするのは素晴らしいことですよね?! でもすべての企業がそこまで進化してはいません。

 

現実は、企業の人材、カルチャー、プロダクトミックス、会社の成長段階など、多くの要因が影響し、結果として必ずしもすべての企業で営業とカスタマーサクセスが連携できるわけでもありません。でも私たちは、カスタマーサクセス担当VPがこの状況を改善するための有効な戦略は何かを何時間も議論しました。

 

マイケルは、ボーナスを放棄する代わりに年1回の「拒否権」をCEOに要求したカスタマーサクセス担当VPについて話してくれました。そのカスタマーサクセス担当VPは結局、その要求を受け入れてもらえなかったそうです。

 

この事例から、いかなるコストをかけても営業を収益獲得へ集中させる企業が存在することが分かります。残念ながら、会社によってはそれが正しい戦略な時すらあります。しかし一般的に長期間成立しない戦略は良い戦略と言えません。拒否権はカスタマーサクセス担当VPがそれを阻止するために行使できる戦術の1つです。

 

残念なことに、拒否権が必要ということは組織間競争を伴うサイロが存在することを意味し、その場合は、戦略が全社的に統合されておらず、決して良い結果を招きません。

 

営業とカスタマーサクセスが連携して動けば、それは強力なアプローチになります。例えばカスタマーサクセス担当VPは、データを使い、望ましい売上の形やプロダクトフィットのないカスタマーと契約すると何が起きるのかを、CEOや営業担当VPに説明できます。具体的には、サポートコストの増大、プロダクトサービスのオーバーラン、NPSの低下、チャーンの増大などです。

 

議論をしていて、カスタマーとの契約前にカスタマーサクセスが何らかの形で関与することが重要であると誰もが感じました。契約後にカスタマーサクセスチームへカスタマーを円滑に引き継ぎぐのは明らかに良いことですが、プロダクトに適性のないカスタマーが契約にサインしようとしている段階から、問題を回避するためにカスタマーサクセスを導入することもまた大変効果的です。

 

カスタマーサクセスチームは、プロダクトを活用する準備が整っていなかったり、そもそも活用できなそうなカスタマー候補を見つけ出し、チャーンが悪化するリスクを防ぐことができるのです。残念ながらその場合、営業コストは埋没コストになりますが、少なくとも成果が出ると思えないカスタマーを維持するコストは避けられます

 

 

営業はカスタマーサクセスに何を期待しているのか?

営業に対しカスタマーサクセスができることは何か? ー 契約締結の支援と、カスタマーへの期待値設定に関する情報の提供。

 

営業マンは目標を達成し、見込み客のリストを充実させたい人たちです。しかし企業にとって重要なのは、成果を出せる可能性が低いカスタマーの獲得コストを最小化し、目標利益を実現するのに必要十分な価値を既存カスタマーに対し提供することです。

 

そして、カスタマーサクセスはそれに貢献できます。営業マン含め、誰だって自分の時間を間違ったカスタマーに割くことなど望んでいません。カスタマーサクセスはデータと経験に基づき、カスタマーを分類し、ターゲットとすべきカスタマーを特定し、彼らが何を期待するかを定義し、マーケティングの注力先を調整することで、筋の良い見込み客を増やすことができるのです。

 

カスタマーサクセスは営業に何を期待しているのか?

カスタマーサクセスに対し営業ができることは何か? ー カスタマーサクセスチームは、営業チームから組織的にカスタマーを引き継ぐことでカスタマーに成功をもたらす可能性を上げたい人たちです。

 

カスタマーサクセスチームは、カスタマーに迅速に期待価値を提供すれば、企業は収益を得て、カスタマーは成長し続けるということを理解しています。営業は、カスタマーの組織における誰が誰か、そのパワー構造、期待値、個々人の性格や信頼するシステム、丁寧な引き継ぎ連絡などに関する情報をカスタマーサクセスチームへ共有することで彼らを支援できます。

 

営業とカスタマーサクセスは全社視点で良い関係を築くために相手の視点に立って考える必要があります。つまり互いの行動様式を理解し、ステレオタイプの偏見を捨て、物事を別の視点から見てみるということです。双方向の直接コミュニケーションと共感があれば、両者が抱える課題を解決することは可能です。しかし、それには何より強いリーダーシップが必要です。

 

引き継ぎ、指標化、そして全社員の巻き込み

カスタマーがあなたのプロダクトを初めて利用しようとしている時、カスタマーに関する情報を営業からカスタマーサクセスへ正しく引き継ぐことは必須です。その際、誰がその引き継ぎに関わり、どういう情報を収集してカスタマーサクセスチームに渡すかを決めることが非常に重要です。

 

新規カスタマーがカスタマーサクセスへ引き継がれた後は、カスタマーサクセスチームがプロダクトへの要求、エスカレーション、口コミ紹介、アップセル機会などを追求するために、カスタマーの誰にどうアプローチすべきか知る必要があります。

 

関係者が入力した情報に基づき非常に大まかなカスタマージャーニーを用意している企業は多いですが、通常、それらは完璧でなくメンテナンスもされていません。カスタマージャーニーを更新し常に意味あるものにすることは、事業のやり方を変えて改善する必要があるか判断するための具体アクションの1つです。

 

カスタマージャーニーを事業の意思決定に使えるようきちんと文書化することは、カスタマーを常に中心に据えて考える企業にとり非常に効果的です。重要な指標の値を改善するために、どのチーム・どのプロセスを変える必要があるかを知ることができるからです。

 

事業で成功するにはカスタマーをよく理解する必要があり、そのためにカスタマーサクセスチームはカスタマーをセグメント分類します。成功と失敗の先行指標はセグメントによって異なるからです。このような情報を社内で上手く共有すれば、意思決定の質が上がり、各セグメントに期待する結果が見える化された良いスナップショットを手に入れることができるのです。

 

例えば:
営業は、カスタマー候補が自社プロダクトの利用に適しているかどうかの情報を手に入れることで、より筋の良い見込み客リストを作ることができます。事業が停滞している時ほど、営業マンは筋の良くない見込み客にも手を広げて契約獲得に躍起になります。会社が衰退事業から撤退を決めるのが最善策ですが、営業マン個人が自らの給与やコミッションを犠牲にしてまで筋悪な見込み客を無視する勇気はありません。

 

そういう営業マンの行動を防ぐには、経営リーダーシップの関与が必須であり、それがプロダクトの問題なのか、プロセスの問題なのか、マーケットフィットの問題なのかなどを正しく解明する必要があるのです。

 

例えば今日、売上トップのカスタマーが契約を解約しそうだと分かったら、誰もが本気で食い止めに関与するでしょう。しかしなぜ誰も、二度と消火活動が要らなくなるように同セグメントが抱える根本問題に関与しようとしないのでしょう?

 

企業では各自それぞれの指標で評価されるため、その評価基準が彼らの望ましい・望ましくない行動と首尾一貫しなければなりません。ほぼすべての企業は結果指標であるチャーンを追跡しており、中にはそれを各セグメントと紐付けて事業をよりよく評価し理解しようとする企業もあります。

 

チャーンの理由を理解することも重要です。チャーンをゼロにするのは不可能ですし、カスタマーに質問しても、本当の答えを教えてくれるとも限りません。カスタマーも人間ですし、通常カスタマーサクセスチームの人たちが好きなので、本当の問題を直接的に話してくれる可能性はとても低いです。

 

可能な限り、提供価値やプロダクト利用度などの統計データを使ってください。時にはコントロール不可能な理由でチャーンが発生することもあります。そういうことも同様に理解する必要があります。指標はこういった側面を考慮して定義し、測定し、評価する必要があります。

 

事業の基本は収益です。従って指標軸の1つは金額です。何を測定すべきかは、カスタマーサクセスチームの成長段階により異なります。初期段階のチームは収益拡大に貢献できる機会が限定的です。それでもカスタマーサクセスチームは、口コミしてくれる支持者を募ったり、プロダクトの効果的な導入事例をつくったり、ユーザーのプロダクト活用度を引き上げることはできます。

 

アップセルを増やせばチャーンを打ち消したり長期の顧客生涯価値(LTV)を引き上げることができる、ということを全員が理解している企業カルチャーを醸成することが非常に重要です。全員がこの点に注意を払う組織を目指すことをお勧めします。

 

NPSやネットリテンションのようなカスタマーサクセス指標をベースに会社全体のチームボーナスを決める企業もあります。そこまですれば確実に、カスタマーがプロダクトを活用して成果を出せているかどうかに全社員が関心を寄せる企業になるでしょう。

 

カスタマーを置き去りにしない

あなたのカスタマーはプロダクトの価値を最大限に活用する主役であり、時には、支払ってくれた金額を超える価値をもたらしてくれることでしょう。そうなるかどうかは、あなた次第です。

 

カスタマーサクセスと営業がコラボレーションする必要があるように、カスタマーサクセスはカスタマーともコラボレーションする必要があるのです。カスタマーサクセスチームは、カスタマーが購入するプロダクトの一部と見なすことができます。

 

SaaS企業のカスタマーリレーションは、時と共にカスタマーサクセスへ重点が移ります。カスタマーサクセスチームがカスタマーへもたらす価値と、それによってカスタマーが動機づけられる度合いを理解しましょう。結果、より大きな成長やより強力な口コミ紹介などに繋がっていくのです。

 

もう一度言います、変化が起きつつあります。営業とカスタマーサクセスが密接に協力して企業成長を促進し始めています!

 

組織の誰にレポートするとか、営業とカスタマーサクセスがちゃんと連携しているかとかは、実は本質的な問題ではありません。

 

大切なのは、営業がカスタマーサクセスから必要とすることと、カスタマーサクセスが営業から必要とすることを正しく理解し、引き継ぎをスムーズにするための指標と共有目標とをしっかり設定することです。そうすれば営業とカスタマーサクセスが素晴らしいコラボを展開するユートピアの世界へ最初の一歩を踏み出せるのです。

 

(原文)

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